受入検査向け音響システム ATLAS

Atlas全景Atlas据付写真

ATLASシステムは、製造工程プローブ検査、品質管理、プローブ製造最終検査、エンジニアリングなどの診断用超音波トランスデューザーの製造および開発環境用としてAcertara Acoustic Laboratoriesにて設計された。

設計目的

ATLASチャート図ATLASシステムの目的は、最新の品質を備えると共に、アレー製造業者により最近使用されるエンジニアリング検査機器について慎重に設計され拡張性のある完全代替製品を開発することであった。
おもな設計目的は、レガシーシステムの試験結果を反復できる性能を得ることであった。ATLASシステムは、それ自体に適正なユーザーインターフェースと産業的デザインを備えており、科学的な高精度測定装置に相当するものである。
ATLAS検査システムハードウェアは、柔軟性、拡張性、カスタマイズ可能性などを考慮して設計されている。 システムの機能的なハードウェアとソフトウェアは、多様な機能を有する操作モジュール(ハードウェア内のドーターボード)からなる。
こうしたモジュール設計法により、特殊型モジュールの取込みあるいは取外しによって最終ソフトウェアパッケージのカスタマイズが可能である。そうしたモジュール例としては、リポ−リング、飛行時間計算法、クロストークのほか、顧客により定義された他の各種のトランスデューザー受入基準マトリクスが含まれる。さらに、その使用に際しては、新規ユーザーはもとより、他のアレーシステムに使用訓練を受けているユーザーにも直観的でなければならない。

システム概要

電子コンポーネント

基礎ハードウェア設計上の電子的要素を以下に示す。

ソフトウェア

おもなソフトウェア機能を以下に示す。

電子コンポーネント

各ATLASシステムには、以下に述べる機能要素が組み込まれている。

超音波パルサー

img_pulser超音波伝達パルサーは、二極パルスとPanametrics PR5800に適合する単極パルスの両方を発生する。外部パルサーとの接続機能も備える。既存検査システムに過去の検査システムを適合させるためには、パルサー励起と一致させることが要件となるため、この設計が適用される。また、ATLASシステムは単極と双極プログラム可能パルサーを装備するため、カスタマイズ性にも優れる。さらに、ドーターボードに追加される別途パルサーにも対応する。

特長
  1. 双極パルスは、陽性パルス持続時間、陰性パルス遅延、陰性パルス持続時間の3つのパラメータによって制御される。これらパラメータは1ns解像度および最大パルス長256nsで規定することが可能である。
  2. パルスパワー供給は、最小30〜150Vの電圧範囲でプログラムが可能である。
  3. パルサーにはセルフテスト機能があり、50Ω±0.5%の抵抗値でパルス負荷が行われる。パルサー出力は、外部コネクタから得られるためオシロスコープで測定可能である。
  4. パルサーの較正モードでは、50Ωテストにパルサー最大電圧を設定できる。
  5. 50Ωテスト抵抗および最大電圧130Vを負荷した場合の単極パルス (PR5800パルスに適合するよう指定される)
  6. 単極パルス立下がり時間(10〜90%間)は10ns未満となる。

超音波レシーバー

超音波レシーバーには、伝達パルス入力保護機能が備わる。その機能および性能仕様を以下に示す。

  1. インプットインピーダンス基準値は50Ω±2.であるが、標準ハードウェアによって最大で4つのカスタム入力インピーダンスに対応する。
  2. ゲイン調整可能範囲は1dB刻みで最小0dB〜+42dBである。
  3. 各設定でのゲイン精度は、ゲイン値が0dB〜+30dB間の場合、± 0.6dBとなる。
  4. 周波数応答は1MHz〜20MHzの範囲で±1dB未満であり、-3dBカットオフ周波数は35MHz以上である。
  5. 最大ゲインでの入力換算ノイズは80μV未満である。
  6. バッファーテスト出力は、50Ωターミネーションに最大1Vp-pの信号を発生させることが可能である。
  7. 受信バンドパス特性を容易にカスタマイズできる。
  8. きわめて高い較正精度が得られる。

インピーダンス測定モジュール

アレー要素および相互接続ワイヤリングの複合インピーダンスを測定することが可能である。モジュールの機能・性能仕様を以下に示す。

  1. 1〜10MHzの範囲で選択した単一周波数で測定することができる。
  2. インピーダンス測定範囲は10Ω〜500Ωである。
  3. インピーダンス測定絶対精度は測定値の±5%である。
  4. インピーダンス測定再現性は、測定値の±2%である。
  5. カスタム規格に基づいて複数周波数、掃引周波数、高精度機能を利用可能。

要素選択マトリクス

スイッチングはリレータイプであり、大型半導体スイッチアレーの過剰な電気容量を回避する。要素選択マトリクスの機能・性能仕様を以下に示す。

  1. アレー電気関連インターフェースを360ピンITT Cannonコネクタを介する。
  2. 標準インターフェースは、非多重送信システム (MUX)アレー向け最大256ダイレクト要素用のスイッチに対応する。
  3. スイッチマトリクスは1000Vの「スタンドオフ」電圧を備えており、トランスデューザー要素のリポーリングに対応する。
  4. スイッチ操作により、作動要素から±1, 2または3ポジション離れた要素に対する「クロストーク」測定が可能となる。
  5. MUXタイププローブ検査に対応するハードウェアは、顧客によるMUXインターフェース仕様に基づいて設定することが可能である。

データ変換およびPCインターフェース

このモジュールでは、伝達パルスおよび受信パルスA/D変換を行い、USBインターフェースを介してPCにデジタルデータを送信する。 200MHz, 16ビットデータ変換および効果的な位相シフトサンプル設定により、きわめて「効率的な」サンプルレートが実現できる。この機能・性能仕様を以下に示す。

  1. 16ビットのA/D解像度
  2. 200MHzのA/D変換率
  3. 単一データライン用のキャプチャバッファーは、50,000 サンプル/100,000バイトである。
  4. PC用のデータインターフェースはUSB2.0であり、データ転送率は5MB/秒である。
  5. 各モジュール向けのPC管理インターフェースは、USBタイプとなる。

リポーリングドライバ

ATLASシステムは、OEMによって設定された性能閾値に適合しない要素のリポーリングに対応できるよう設計されている。本システムの標準型には、リポーリング電圧を得るために必要となるドライブ用の電子コンポーネントは付属されない。ドライバの外部接続には、ATLAS電子コンポーネント外部のドライバをリポーリング試行用エレメントに接続する方法が適用される。ドーターボード配置により、オプションのカスタム用レポーリングドライバをATLASシステムに組み込むことが可能となる。

PC/ソフトウェア

ATLASシステムは操作検査ソフトウェアを備えた標準型PCと連携しており、USBインターフェースにて検査電子コンポーネントに接続する。

PCおよびソフトウェアに必要となるシステム要件を以下に記載する。

PCシステム要件
  1. USB2.0 ポート2カ所以上
  2. OS:Microsoft Windows 7 Professional
  3. 100M-ビット イーサネットカード
  4. 1GHz以上 32ビット (x86) または 64ビット (x64)プロセッサ
  5. 1GB RAM (32ビット) または2GB RAM (64ビット)
  6. ハードディスク空き容量:16GB (32ビット) または20GB (64ビット)
  7. DirectX 9グラフィックデバイス+WDDM 1.0ドライブ以上
  8. 解像度1280X768以上のビデオアダプターおよびモニター
  9. CD-ROMまたはDVDドライブ
システム開発ソフトウェア言語

LabView. 2012がおもなシステム開発ソフトウェア言語となる。

検査セットアップ

検査用ソフトウェアにて、オペレーターは「検査セットアップ」ページのドロップダウンリストおよびデータ入力欄を用い、検査を行うアレーを選択記入することができる。さらに、オペレーターは検査を実施するほか、試験目的の入力やその他に顧客要望に関する操作等を行うことが可能である。

アレーアライメント

検査用ソフトウェアにて、「アレーアライメント」画面にて試験対象となるアレー間にある7つの要素に対し連続スキャンが実行される。その結果、「リアルタイム」でフィードバックされて、オペレーターは反射対象に相対するアレーのアライメントを迅速かつ正確に得ることができる。

パルス/エコー測定

検査用ソフトウェアによって、「パルス/エコー測定」画面に試験対象エレメントのRF波形が表示される。また、チャートには各測定エレメントのループゲイン、パルス長、センター周波数、バンド幅およびフライト時間が表示される。パルス長の決定に適用する閾値レベルは、-6dB〜-20dBの範囲で設定可能である。センター周波数および%バンド幅の決定に用いる閾値レベルは、-3dB〜の-20dB範囲で設定できる。必要に応じて、読み取り用に検査結果「チャート(表)」を2ページに分割することができる。

複合インピーダンス測定

検査用ソフトウェアによって、試験下にある全アレーまたはプローブについて完全インピーダンスの連続検査に対応する「インピーダンス測定」画面が表示される。このインピーダンス測定は単一周波数にて行われる。なお、この場合、周波数は検査セットアップファイルに指定できるほか、必要に応じてオペレーターが検査画面上でデータを修正することもできる。おもな結果表示として、各要素で測定された電気容量データが表にまとめられる。また、要素選択マトリクスの電気容量分を差し引くためのオフセット値も表示される。二次的な結果は、要素抵抗値が表形式に示される。

要素リポーリング

検査用ソフトウェアにより、 「要素リポーリング」画面が表示される。同画面では、オペレーターがアレー要素を1つ選択して、電子コンポーネントへの「ポーリングドライブ」入力にそれを接続できる。必要に応じて、アレーのリポーリング要素に最大で1000Vの外部「ポーリング」ソースを接続することが可能である。「リポーリング」要素用サポートは、スイッチングマトリクスが最大1000Vのスタンドオフ電圧に対応できるよう設計されている。特殊ポーリングドライブの要件を得るために、ドーターボードをオプションで追加することができる。

判定/受入基準

検査用ソフトウェアにより、「受入」画面が表示される。 アレータイプの受入基準は、「プローブタイプファイル」とその他の検査特殊パラメータにて指定される。アレー検査の終了後、オペレーターが「受入」画面を表示できる。この画面には、受入基準を満たさなかった検査データが一覧表示される。これは複合領域であり、ソフトウェア要求仕様 (SRS) の詳細を満たすためにOEMによる詳細な定義が必要となる。

検査結果の保存およびデータベース

検査用ソフトウェアでは、アレー検査結果を保存できる。 検査結果はテキストファイルで保存され、以前の検査データの検索やアーカイブ保存データからの報告書作成が可能となる。

報告書作成

検査用ソフトウェアにより、PDFなどの移動用データフォーマットで試験報告書を作成できる。 検査報告書には、アレー試験から得られた全データに加えて、それを完全文書化するための時間・日付データなどの必要情報を含めることができる。報告ソフトウェアのSRS (ソフトウェア要求仕様) の定義をファイナライズするには、OEMによる特別な報告要件が必要となる。

検査時間

アレーをマウントして位置合わせすれば、128要素アレーの検査スキャンは10秒以内に完了する。

検査再現性

RFゲインおよび伝達電圧に対する高解像度ソフトウェア調整により、ユニットごとの検査結果の正確なマッチングが可能となる。検査結果は、各ユニットにて以下に示す許容範囲内になければならない。

  1. アレー平均ループゲインの範囲:± 1dB
  2. -20dB閾値にあるアレー平均パルス幅の範囲:±3%
  3. -6dB閾値にあるセンター周波数範囲:±0.2MHz
  4. -6dB閾値にある% バンド幅の範囲:±3%

パッケージ

下図に示す小型のラックマウント(またはテーブルマウント)パッケージの採用により、製造ラインまたはエンジニアリングラボに容易に組み込むことが可能となる。

 

 

 

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